お客様事例長崎スタジアムシティ
健全な労働環境を追求しつつ、
お客様に感動体験を与える大型複合施設

「長崎スタジアムシティ」はJR長崎駅から徒歩約10分の場所にあります。敷地面積は東京ドーム約1.5個分に相当する7.5haです
来場者に感動の体験を提供する“場”を同時にいくつも立ち上げ、運営を軌道に乗せながら健全な労働環境を実現する-。そんな離れ業を成し遂げつつある大型複合施設が、長崎市に開業した「長崎スタジアムシティ」です。今回は施設内で営業する話題の店舗を紹介するだけでなく、高い顧客満足と働きやすい労働環境を両立させるために必要な視点を、施設の飲食事業運営会社の責任者に伺いました。
ジャパネットグループの
地域創生企業による企画・運営
2024年10月、長崎市の中心部に、大型複合施設「長崎スタジアムシティ」が開業しました。三菱重工長崎造船所幸町工場の跡地を活用した施設で、約2万人収容のサッカースタジアム、プロバスケットボールの試合などが開催できる多目的アリーナのほか、243室の「スタジアムシティホテル長崎」、オフィス、ショッピングモールで構成されています。この施設は長崎県で創業したジャパネットグループで地域創生事業を担う株式会社リージョナルクリエーション長崎が施設の企画を手がけ、運営にあたっています。

- 大石智和様。フランス料理のシェフとしてフードサービスの道に入り、大手飲料メーカーで飲食店の開業支援に従事。2024年から株式会社リージョナルフーズ長崎で飲食運営部門の責任者をお務めになっています
施設内のテナントは約80店舗。飲食関連の店舗は28店舗あり、このうち約10店舗を株式会社リージョナルフーズ長崎が直営で運営しています(一部、フランチャイズを含む)。スタジアムシティレストラン運営本部の責任者である大石智和様は、「当施設では、幅広い世代の方々に、驚きや感動などを伴った、さまざまな体験をしていただきたいと考えています。その体験の場である飲食店も、スタジアムグルメと呼ばれるスポーツ観戦中に楽しむ食から、ホテル内のイノベイティブフレンチ(独自のセンスで独創的な料理を提供するフランス料理)まで、多彩なラインアップをそろえています」とお話しになります。
多様な切り口で
「感動の食体験」を提供
施設内で特に話題となっている直営店舗をいくつかご紹介します。まず、感動の食体験を象徴する店舗と言えるのが、ホテル7階のメインダイニング「LES CINQ SENS(レ サンクセンス)」です。国内外の名門レストランでキャリアを重ねてきた小見由貴シェフのもと、素材の持ち味を最大限に生かした、独創的なフランス料理を提供するイノベイティブフレンチです。
料理を通じて自然豊かな長崎の風景を伝え、「今、ここでしか食べられない長崎の旬」をゲストに感じてもらうべく、食材は料理長やシェフが80カ所を超える長崎各地の生産地へ足を運び、厳選しているそうです。店名はフランス語の「五感」に由来しており、「味わい、見た目、薫り、動き、音」が広がる空間での飲食体験を提供します。そのような場にもっともふさわしい舞台装置として、オープンキッチンを採用。厨房を囲む形でカウンター席を配し、ゲストは独創的な料理とともに、プロが手際よく手を動かす調理風景、フライパンから立ち上る香り、シズル感あふれる音、シェフとのコミュニケーションなどを楽しみます。

- オープンキッチンを採用したLES CINQ SENS店内。客席数は25席で、テーブル席もあります。ワインのストックは3000本に及びます
LES CINQ SENSと同じ7階では、100席のカジュアルフレンチ「CAFÉS & DINERS VERDE(カフェ&ダイナー ヴェルデ)」が営業をしています。「美しい緑の芝が敷き詰められたスタジアムのフィールドや客席を一望できるロケーションです。とりわけランチやアフタヌーンティーが県内外のお客様からご好評をいただいています」(大石様)。


- 明るい外光が差し込む、CAFÉS & DINERS VERDEの客席(写真左)と、厨房(写真右)。コンビオーブンをお使いいただいています
- 明るい外光が差し込む、CAFÉS & DINERS VERDEの客席(写真上)と、厨房(写真下)。コンビオーブンをお使いいただいています
サッカーの試合開催日などには、年間約9万キロリットルの醸造能力を有するビール醸造所を併設したブルワリーレストラン「THE STADIUM BREWS NAGASAKI」がひときわにぎわいます。山中湖でウォーターサーバー事業を展開しているジャパネットグループのグループ会社と協業して開業したもので、醸造予定のクラフトビールは実に年間約100種類。「タンクから注いだ鮮度抜群のクラフトビールをお届けしています。長崎の伝統柑橘(かんきつ)である『ゆうこう』を使ったビールなど、長崎ならではの味も楽しんでいただけます」(大石様)。


- THE STADIUM BREWS NAGASAKIでは、ピザの焼成にジェットオーブンをお使いいただいています
ホワイトな労働環境、
「フードサービスも例外なし」目指す
株式会社リージョナルフーズ長崎は、この施設の開業前から、長崎県内でレストランやコーヒーショップなど3店舗を経営してきました。フードサービスの店舗運営は初めてではありませんが、ジャンルの異なる直営10店舗を同時に立ち上げ、軌道に乗せることがいかに難しいかは、フードサービスの関係者であれば容易に想像できるのではないでしょうか。さらに、株式会社リージョナルフーズ長崎は、店舗以外にスタジアムのVIPラウンジなども直営で運営しているそうです。
大石様は、「立ち上げはさすがに困難が多かったです」と振り返りつつ、驚くべきことを明かしてくださいました。「ジャパネットグループは6年連続で『健康経営優良法人(ホワイト500)』に認定されています。労働時間は9時間拘束の実働8時間。『ノー残業デー』も週に3日あります。グループ企業である当社も例外ではありません。ハードルは高いのですが、この体系で現場を回すためのオペレーションが確立されつつあり、店舗ではすでに8時間労働が実現しています」(大石様)。
高いサービス品質を維持したまま、労働の負荷を軽減するための方策の一つが、デジタル技術を搭載した最新機器やサービスの活用にあるそうです。例えば、長崎スタジアムシティではキャッシュレス決済を全面的に採用しており、店舗スタッフは現金を扱いません。飲食の注文はセルフオーダーの機器を通じて行い、現金派のお客様はいったんプリペイドカードを購入し、決済を行う仕組みです。「店舗では両替や入金などの手間がなくなるほか、レジ打ちなどの会計ミスも防止できます」と大石様はおっしゃいます。現金が扱えないと機会損失が生まれるリスクを指摘する声もあったそうですが、「シニアのお客様を含め、混乱なくお使いいただいています。キャッシュレス決済は地方都市でも想像以上に浸透しています」とのことです。
厨房でも最新機器を活用し、労働負荷の軽減につなげています。fujimakは長崎スタジアムシティにおけるフードサービス施設の設計や施工をお手伝いさせていただきました。製品としては、コンビオーブンやバリオデュアルパンを多くの店舗で活用いただいています。
「性能が進歩した最新の厨房機器を使うと、人でなければできないと思われていた仕事の多くをカバーできるようになっています。例えば、料理長が考えたレシピを機器に記憶させて、繊細な温度コンロトールが求められる調理の一部を機器で行う、あるいは、仕込み作業を機器に担わせてスタッフの労働時間を減らす、といったことも可能です。精緻な温度管理や自動調理が可能なコンビオーブンは、料理人にとって使いやすい高性能な機器であるだけでなく、労働環境の改善に役立つ省力化のツールでもあります」(大石様)


- 店舗での注文用のセルフオーダー・会計システム(写真左)。LES CINQ SENSではコンビーブンとバリオデュアルパンをオープンキッチン内に設置し、ご活用いただいています(写真右)
- 店舗での注文用のセルフオーダー・会計システム(写真上)。LES CINQ SENSではコンビーブンとバリオデュアルパンをオープンキッチン内に設置し、ご活用いただいています(写真下)
200台以上の計測装置を導入し、
冷蔵庫・冷凍庫に
温度管理システムを導入
株式会社リージョナルフーズ長崎の運営店舗・施設では、fujimakのクラウド型温度管理システム「キッチンリンク・クラウド」を導入し、衛生管理の精度向上を図っています。冷蔵庫や冷凍庫などの温度管理に導入した計測装置は200台以上に及びます。
大石様は、「これは今までありそうでなかったシステムです。現場からは『温度管理表をつける必要がないので楽になった』と好評です」とお話しになります。さらに、「冷蔵庫などに設置されている温度計では、庫内温度の時系列での変化を追跡することが困難です。仮に閉店時間中に停電が起きた場合、冷却が何時間止まり、庫内温度がどう変化したのかが分からないと、食材を廃棄すべきか、使用可能なのかを判断することができません。キッチンリンク・クラウドは、履歴を含めて庫内温度の変化を把握できますので、食品の安全性を担保する上で有用だと思います」とご評価くださいました。


- キッチンリンク・クラウドを導入し、多くの冷蔵庫・冷凍庫の温度変化を記録し、管理しています
人材不足に対応しながら働き方改革を進めるのは容易なことではありません。しかし、最新技術を味方につけ、人の仕事の一部を機械に任せることで、品質やサービス水準を高いレベルに保ちながら、課題克服の道がひらける可能性があることを、長崎スタジアムシティのフードサービス施設は教えてくれそうです。

- 大石様は、「実績が豊富とは言えない当社がこれだけ多くの店舗を同時に開業できたのは、あらゆる分野の厨房に通じていて、多くの無理をきいてくださったfujimak担当者の力も大きかったです」とご評価くださいました
関連製品・サービス
施設情報

施設名 | 長崎スタジアムシティ |
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運営 | 株式会社リージョナルクリエーション長崎 |
所在地 | 長崎県長崎市幸町7-1 |
開業 | 2024年10月 |
Webサイト | https://www.nagasakistadiumcity.com/ |