お客様事例ホテル鐘山苑
さらなる感動の提供を目指し、主厨房と洗浄室を改装
専務取締役の桑原良訓様(写真右)と、調理部統括部長の宮下裕一様(左)。敷地内の庭園は社内のスタッフが毎日、手入れをしておられます
富士山の麓に立地し、「庭園と感動の宿」をキャッチフレーズとする「ホテル鐘山苑(かねやまえん)」は、四季の移ろいを感じつつ、富士の絶景を客室や露天風呂などから満喫できる高級温泉旅館です。この度、充実した施設やきめ細やかなサービスに加え、料理にいっそうの磨きをかけるべく、主厨房と洗浄室の改装を行いました。最新の機器導入によって作業環境を改善し、調理の機動力を強化。より高い満足と感動をゲストにもたらす料理づくりにチャレンジします。
富士の麓にたたずむ高級温泉旅館
富士山の麓、山梨県富士吉田市で半世紀以上にわたって営業するホテル鐘山苑は、1995年に「プロが選ぶホテル・旅館百選」に選ばれ、翌1996年には、JTBのお客様アンケートで、高評価の宿の基準となる90点以上を獲得するなど、高い顧客満足度で知られる日本を代表する温泉旅館の一つです。
キャッチフレーズは、「庭園と感動の宿」。富士を借景とする日本庭園と天然温泉、上質な客室と、心づくしのサービス、さらに地元の食材を生かした料理など、「ホテル鐘山苑だけにしかない」ハードとソフトの魅力が、旅慣れたゲストをも魅了し続けています。
茶室「清流庵」の傍らを桂川が流れる日本庭園の敷地はおよそ2万坪。春には梅や桜などの開花が続き、初夏には蛍の鑑賞会も催されます。秋は紅葉が庭園を染め上げ、冬は水墨画のような雪景色が一面に広がります。
富士五湖エリアで初めて発掘した天然温泉「富士山温泉」の湯量は毎分200リットル。泉質はpH9.8の高アルカリ性で、美肌の湯として知られます。客室の多くが専用の露天風呂を備えているほか、本館に相当する細流亭(せせらぎてい)の10階屋上に設けられた「露天風呂 富士山」は、富士山の雄大なパノラマを満喫できる人気の施設となっています。
- 夏季はプールも営業します
- 「露天風呂 富士山」。これ以上ない借景である富士の姿を眺めながら、3段式の湯船でリラックスできます
全員参加による、和のもてなし
- 専務取締役の桑原良訓様
ホテル鐘山苑は、きめ細やかなサービスでも定評があります。「近隣のエリアには、男性を主体とする団体旅行で有名な一大温泉地があります。これに対して当ホテルは、女性のお客様をターゲットとしてきました。女性に支持していただければ、一緒に男性も来館なさいます。感動し、また訪れたいと感じるサービスを、全員で一つずつ、形にしてきたのです」―。専務取締役の桑原良訓様はこうおっしゃいます。
例えば、館内には通路やテーブル、窓際など、300カ所以上に季節の花がさりげなく飾られています。小原流の華道を学んだスタッフたちが、毎日花を生けているのだそうです。ロビーでは、毎晩、さまざまな持ち場のスタッフが制服から法被に着替え、「霊峰太鼓」のショーを披露します。冒頭で紹介した庭園の管理を担当するスタッフもいれば、茶室で抹茶の提供にあたるスタッフもいます。ホテル周辺の魅力や、ホテルのイベントなどを自分の言葉で伝えるブログは、毎日更新されています。ある時は自らエンターテイナーになり、ある時は有能な黒子となって、日本の良さを満喫しながら非日常の空間を快適に過ごすための演出に心を尽くします。
アフターコロナを見据え、
主厨房を改装
もちろん、美食もホテル鐘山苑を訪れるゲストのお目当てです。「美味しいものがあると聞けば、自分たちで産地に出かけたり、仕入れに行ったりもしてきました」と、調理部の宮下裕一統括部長はおっしゃいます。ホテル鐘山苑の名物として定着している「鮑の踊り焼き」も、生け簀を備えたトラックを自分たちで運転して仕入れに出向いていたそうです。
絶え間ない情報収集と労を厭わぬ仕入れによって、ホテル鐘山苑では、富士五湖周辺の名産が食卓に並びます。脂ののりが良い「忍野サーモン」、山梨県産の「富士桜ポーク」、朝食では地元の「富士山伏流水の豆腐」、忍野産の「紅葉玉子オムレツ」など、 バラエティは実に豊富です。
こうした料理を、オープンキッチンを備えた四季彩ダイニング「美厨(みくり)」、「旬の素材を美味しく食す」がコンセプトの旬菜ダイニング「夢寿美(むすび)」、婚礼・朝食会場としても使用する「ガーデンテラス」、個室料亭など、管内の施設で提供しています。
- 調理部統括部長の宮下裕一様
- 季節の食材を生かした料理
ホテル鐘山苑では、2022年4月までに主厨房と食器洗浄エリアの改装と機器の入れ替えを行いました。「これからは料理の時代です。感動を与え、お客様に世界一支持される料理を提供するために、コロナ禍の今しかできないことは何かを考えました。その結果、今やるべきこととして主厨房の改装に踏み切りました」と桑原専務はおっしゃいます。
「グランピングが流行していますよね。ただ、1人2万円以上の費用をかけて施設に出かけても、食事はバーベキューがほとんどでしょう? 一度や二度は楽しめるでしょうが、飽きを感じて、細やかなもてなしを受けられるホテルで、プロが作ったバラエティ豊かな、美味しい料理を食べたいと感じる人が増えているはずです。施設、サービスに続いて、料理をより磨き上げる環境を、今、整えるべきだと考えたのです」(桑原専務)
「iCombi Pro」と
「バリオ大容量パン」をフル活用
主厨房改装の狙いは、調理における機動力の向上を図ることでした。従来は、刺し場、焼き場など、ポジションごとに作業場が独立した、伝統的な日本料理の厨房だったそうです。それを、盛りつけ台を中心に加熱エリアを一箇所に集約するレイアウトに変更しました。併せて、コンビオーブンの「iCombi Pro」や「バリオ大容量パン」を導入なさいました。
「従来は、各ポジションが離れており、お客様の急なご来館による料理の追加や、客室や客席で承ったお好みなどを伝達するのに、スタッフが各ポジションを回って、その内容を伝えていく必要がありました。どうしてもコミュニケーションをとりづらくなっていました。改装では、各ポジションを近づけて、意思疎通を図りやすくしました。加熱エリアの面積は減るものの、省スペースで効率良く加熱できる最新の機器を活用すれば、対応力は逆に上がります。コロナ禍の影響で提供食数が少ない日でも、少人数で効率的に厨房を回せるようにしたいとの意図もありました」(宮下統括部長)
- 厨房環境を改善するため、ガスレンジの多くを電磁調理器と入れ替えました
宮下統括部長によると、主厨房は、期待通りの効率的なオペレーションに移行できているそうです。「コンビオーブンは歴代の製品を使ってきましたので使い勝手の良さは分かっていました。追加で入れた最新の機種もフル活用しています。鍋による調理は、その多くがバリオでの調理に代わりました。加熱が終わったら自動で止まるので、他の仕事に集中できますし、火の立ち上がりが早いので、熱い料理は直前に仕上げて熱いままお出しするという理想の提供が実現できています。また、各ポジションが近くなり、全体に目が届きやすくなったため、少人数時のオペレーションでも、仕事を覚えたいという意欲的な若手にさまざまな仕事を任せ、教えながら現場を回すことができるようになっています」(宮下統括部長)。
- 「iCombi Pro」や「バリオ大容量パン」などを新規で導入なさいました
洗浄室も「気持ち良く働く」
環境に改善
ホテル鐘山苑は、婚礼も手がけており、個人客に対しても品数の多い会席料理を主体とするメニュー構成であるため、1人分の食事で食器を多く使います。洗い物の数が多く、これまで食器の洗浄に携わるスタッフの負担は重くなりがちでした。今回の改装では、食器洗浄室には最新式のコンベア型洗浄機「高機能省エネ洗浄機(M-iQ)」を導入なさいました。節水や省エネ性能に優れているほか、投入部や取出し部から湯気がほとんど出ず、排気も約25℃に抑えられています。
「美味しい料理を提供するためにも、気持ち良く働いてもらうことが非常に大切です。快適に働いてもらいたいとの思いから、作業環境の改善を図りました」と桑原専務はおっしゃいます。宮下統括部長も、「洗浄室はこれまで高温多湿で、『長居したくない場所』でしたが、このコンベア洗浄機を入れたことで、室内の温度が劇的に下がりました。スタッフの定着率向上にも貢献してくれるはずです」とおっしゃいます。
- 洗浄室の改装で導入した「高機能省エネ洗浄機(M-iQ)」
「fujimakが思いを形にしてくれた」
fujimakの社員への評価をお伺いしました。桑原専務は、「歴代の役員や調理部のメンバーたちから、fujimakが信頼できる旨は聞き及んでいました。今回の改装の仕事ぶりを見て、その評価通りだと感じました」とおっしゃってくださいました。
宮下統括部長は、「厨房の改装が決まってから稼働まで、一度も不安を覚えることはありませんでした。fujimakのスタッフが、私たち料理人が新しい厨房で実現したいことを口にすると、『こういうことですよね』と、具体的な形に落とし込んだ提案をしてくれるのです。打てば響く感じで、大変助かりました」と語ってくださいました。作業環境が改善され、より効率的になった厨房から、新たな感動をもたらす料理が誕生する日も遠くなさそうです。
- 主厨房で働く調理部スタッフの皆さま
関連製品
施設名 | 庭園と感動の宿 富士山温泉ホテル鐘山苑 |
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経営 | 中央観光株式会社 |
所在地 | 山梨県富士吉田市上吉田東9-1-18 |
ホテル開設 | 1971年 |
Webサイト | https://www.kaneyamaen.com |