お客様事例井上食品株式会社
高付加価値のおつまみ製造にジェットオーブンを導入
おつまみ製造に活躍するジェットオーブン。井上食品でお使いいただいている機種はロングシリーズの2モジュールタイプ(FGJOA50NR)となります
ジェットオーブンは飲食店の厨房だけでなく、大量調理を前提とした食品工場でもご活用いただいています。神戸市の井上食品では、おつまみの製造にジェットオーブンを導入し、焼成時間を従来の約半分に短縮しつつ、均一な焼き上がりによる品質の安定化も実現しておられます。
主力商品の焼成にジェットオーブンを導入
- 井上食品代表取締役社長の井上淳也様
- 「パリパリこいわし」シリーズ
おつまみという商品を通じて、家族のだんらんや、人と人とのコミュニケーションの場を作り、演出する―。1946(昭和21)年、神戸市に創業した井上食品は、このような理念のもと、独自性の高いおつまみや珍味などを製造する食品メーカーです。「おつまみは、お酒の友として、また、お子様などのおやつとして楽しんでいただく嗜好品です。嗜好品であるからこそ、安全・安心であることはもちろん、付加価値の高さが欠かせません。質の高い原材料の自社輸入も手がけながら、他社にない商品の開発と製造に取り組んでいます」と井上淳也社長はおっしゃいます。
そんな井上食品における人気商品の一つが、ポテトチップスの手軽さと親しみやすさをおつまみの世界に採り入れ、お酒を嗜む方からお子様まで幅広いファンを獲得している「パリパリこいわし」シリーズです。ネーミングのとおり、指先でつまめるサイズの小いわしをパリパリと焼き上げたスナック感覚のおつまみで、2012年に全国水産加工品品質総合審査会で農林水産大臣賞を受賞した旨塩味をはじめ、甘口しょう油味、のり塩味、しそ梅味、旨塩ブラックペッパー味を販売しています。
井上食品は2018年から、本社敷地内の西神戸工場におけるこのシリーズの製造ラインとして、fujimakの食品工場用ジェットオーブン(FGJOA50NR)を導入しました。ガス直火式焼成機からの切り替えです。目的は、生産効率の向上と、更なる品質の安定化。
「fujimakのテストキッチンに食材を持ち込んでテストを重ね、納得いくまで検証をしました。fujimakには、こちらの疑問や要望を詳細に伝え、特注パーツの開発を含めて対応していただきました」(井上社長)
井上食品での製造用にfujimakがご提案したパーツの一つが、小さな食材でも焼成できるように開発したコンベアネット(焼き網)です。規格品のコンベアネットでは小いわしが網目から落ちる可能性があると考え、規格品とは形状を変えて、目開き7mmのコンベアネットをジェットオーブンに装備しています。
「過大投資になりかねない機能を押しつけるのではなく、私どものニーズにフィットした、リーズナブルな提案をいただいたことが良かったです」(井上社長)
- 小さな食材がコンベアから落ちないよう、開き部分の最大径を7mmにした目の細かいコンベアネット(写真左側)を採用
- 熱でスルメイカが反らないよう、上からネットをかぶせる押さえコンベアを装備しています
ジェットオーブンは、熱風を食材の上下からジェット噴射し、食材を効率良く焼成します。「パリパリこいわし」の焼成では、ジェットオーブンの導入により、焼成時間が従来の約2分の1にまで短縮されました。加えて、「従来の焼成機には加熱ムラが生じ、加熱が十分でない食材をラインに流し直す必要がありました。ジェットオーブンはコンベアのどの部分に食材を載せても均一に焼成できるため、品質が安定します。当社の製品は、一つひとつの製品にばらつきのない品質の高さが売り物ですので、これは大きなメリットです」と井上社長はおっしゃいます。
現在は、「パリパリこいわし」シリーズの製造のほか、ジェットオーブンであたりめ(スルメイカ)など、他のおつまみも焼成しています。
2ラインをジェットオーブン1ラインに集約
ジェットオーブンによる生産効率化と品質安定化の成果を実感なさった井上食品は、2021年、今度は別の製品群を焼成する2つのラインの見直しに着手なさいました。「おかげさまで工場はフル稼働の状態が続いています。ただ、おつまみ業界も人手不足と無縁ではありません。限られた人数で既存のご注文にお応えしつつ、さらに品ぞろえを拡充していくための生産体制を整備することにしました」(井上社長)。
具体的には、それまでガス直火バーナ―焼成機の2ラインで実施していたおつまみの焼成を1ライン体制に変更しつつ、従来と同等以上の生産能力を確保するという内容です。この意欲的な生産体制の変更にあたって選ばれた新しい焼成機が、井上食品にとって2機目の導入となるジェットオーブン(FGJOA50NR)でした。
- 井上食品で製造するおつまみ製品の7割以上の焼成をジェットオーブンが担っています
- イワシの焼成。香ばしくパリッと仕上がっています
- 井上食品製造部課長の三浦英明様
製造現場でライン変更の指揮を執った製造部の三浦英明課長は、2021年秋から稼働を始めたジェットオーブン(FGJOA50NR)2号機の焼成能力の高さをこう表現なさいます。
「とにかく焼成が速いです。焼成時間は従来の半分。大げさな表現かもしれませんが、感覚的には『入れた瞬間に焼き上がって機械から出て来る』イメージです。本当に1ラインで2ライン分の焼成ができています」
さらに、三浦課長はジェットオーブンが製造現場にもたらした変化を三つ挙げてくださいました。
「従来の焼成は、熟練スタッフの経験に基づく勘に依存せざるを得ませんでしたが、ジェットオーブンは経験の浅いスタッフでも、温度と時間を設定すればボタン一つで食材を均一に焼成できます。スタッフの早期戦力化が可能になっています。次に、井上社長が申し上げたように、食材をムラなく均一に焼成できますので、流し直しが減って生産効率も上がりました。そして、ラインが1本減った分、ラインに流す食材のストック場所を多く確保できるようになりました。ジェットオーブンの設置スペースは、従来のラインの1本分よりも全長が短くて済んでいます。決して広いとは言えない製造現場で、新しく生み出されたスペースはとても貴重です。ライン稼働中の作業動線が短くなり、生産性がより高まりました」
「情報源としても頼りにしています」(井上社長)
中小企業・小規模事業者や中堅企業は、経営力向上のための人材育成や財務管理、設備投資などの取り組みを記載した「経営力向上計画」を事業所管大臣に申請し、認定されると、中小企業経営強化税制(即時償却等)や各種金融支援を受けることができます。井上食品様も、工業用ジェットオーブンの導入という設備投資を軸にした生産性の向上を図ったことなどにより、その対象となりました※。fujimakは申請に必要な書類(『中小企業等経営強化法の経営力向上設備等及び生産性向上特別控除法の先端設備等に係る生産性向上要件証明書』)の作成を通じて、制度ご活用のお手伝いをいたしました。
※税制・支援の有無や内容は時期により異なります。また、すべての導入事例が認定されるとは限りませんのでご注意ください。
最後に、井上社長と三浦課長に、fujimak担当者の対応についてご評価をお伺いしました。井上社長はこうおっしゃいます。
「fujimakは食品工場向けの機器だけでなく、厨房関連の機器を幅広く揃えています。飲食店の分野では、限られた厨房スペースで効率的な仕事をするために必要な機器が数多く開発されていますので、『こういうものないの?』と相談すると、その要望に叶う機器が揃っていることが多いですね。お取引先であると同時に、生産性向上のための情報源として考えています」
「営業の方は一生懸命やってくださっています」とご評価をいただいた三浦課長からも、「ジェットオーブンの導入で生産性は確実に上がりましたが、まだ満足はしていません。新メニューを開発しながら、生産性をより上げていくために、fujimakにもいろいろと相談をしていきたいと思います」とのコメントを頂戴しました。
消費者に魅力的なおつまみを届けておられる井上食品のお役に立てるよう、fujimakも尽力してまいります。
関連製品
ジェットオーブン
工業用ジェットオーブンについて会社名 | 井上食品株式会社 |
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本社所在地 | 神戸市西区池上1丁目13番地の9 |
電話 | 078-974-1111 |
創業 | 1946年(設立1952年) |
事業内容 | おつまみ・珍味の製造販売 佃煮の製造販売 業務用冷凍食品の製造販売 水産物の輸入販売 |
Webサイト | https://inoueshokuhin.com/ |