お客様事例ESPRIT C. KEI GINZA(エスプリ・セー・ケイ・ギンザ)
小林圭シェフが
「とらや」とともに
銀座に築いた、
“美食の研究所”

「ESPRIT C. KEI GINZA」の店内。調理のライブ感を味わえるオープンキッチンを採用しています
アジア人として初めて「フランス版ミシュランガイド」の三つ星を獲得した小林圭シェフが、老舗和菓子店「とらや」とともに開店した「ESPRIT C. KEI GINZA(エスプリ・セー・ケイ・ギンザ)」。ライブ感あふれるオープンキッチンには、美食家を感動させる料理をアラカルトでスピーディーに提供するための細やかな工夫が随所に施されています。三つ星シェフの要望に応えて開発された、特別仕様の厨房機器も初公開します。
美食の革新を追求するレストラン

- 野平聡支配人。「シャトーレストラン ジョエル・ロブション」で支配人を務め、「第12回メートル・ド・セルヴィス杯」の優勝経験をお持ちです
「エレベーターで11階に上がると、木材や石を多く使った、隠れ家のような空間が広がります。銀座という立地からは想像できないサプライズ感があるようで、多くのお客様が『本当にキレイですね』と感想を口になさいます。オープンキッチンで調理するシェフたちの活気ある姿とあわせ、料理も大変高い評価を頂戴しており、手応えを感じています」(野平聡支配人)。パリの「Restaurant KEI」でアジア人として初めて「フランス版ミシュランガイド」三つ星を獲得した小林圭シェフが、老舗和菓子店「とらや」とともに2024年4月に開店した31席のレストラン「ESPRIT C. KEI GINZA(エスプリ・セー・ケイ・ギンザ)」が、美食を求める方々の間で話題の店舗となっています。
小林シェフと和菓子店「とらや」は2021年、豊かな自然に恵まれた静岡・御殿場で、地元の食材の魅力を最大限に引き出した「大地の料理」をテーマとする「Maison KEI」をオープンしています。協業2店舗目となる「ESPRIT C. KEI GINZA」の立地は、御殿場とは対照的に、多くのハイブランドが旗艦店を構える東京・銀座。小林シェフは、多様な食文化が集まり、食通や美食家と呼ばれる人々が、おいしいものを求めて足を運ぶこの場所で、フランス料理の域を超え、自由な発想で、美食の革新を追求するレストランをつくることにしたそうです。店名の一部を構成する「C」の文字は、cuisine(料理・厨房)とcreation(創造性)を意味しています。

- ヒノキを中心とした木材や石材など、自然の素材を生かした、日仏の文化が融合した内装です

- 杉本昌久シェフ。「Maison KEI」開店当初からスーシェフを務め、2023年秋から「Restaurant KEI」で小林圭シェフのもと、研修をされました
「ESPRIT C. KEI GINZA」の厨房を預かる杉本昌久シェフは、「自分が食べたいものを、お好みの調理法で楽しむ使い方をしていただくため、メニューはコースではなく、アラカルト形式にしています。お客様のリクエストをうかがいながら、その日に仕入れた食材だからこそつくることのできる、『記憶に残る一皿』をお届けしています」とおっしゃいます。
日々提供している料理の中には、「とらや」のエッセンスが感じられる要素も採り入れています。最中(もなか)の皮に、毛ガニやキャビアなど高級食材を美しく盛り込んだ料理などです。使用する食材は季節や仕入れ状況によって変わります。パリの「Restaurant KEI」のスペシャリテでもある、メレンゲを使った『ヴァシュラン』というデザートに餡(あん)のソースを用いるなど、デザートでも適宜、「とらや」にゆかりのある要素を組み込んでいるそうです。
機動力の高い調理を支える、
特注機器の数々
アラカルトを前提としたメニュー構成にした場合、ピーク時の厨房には異なる種類の注文がいくつも入ることになります。杉本シェフは、「同じテーブルで5人のお客様が違う料理を注文なさった場合でも、適切なタイミングで料理をお出しできるよう、スピード感とおいしさの両立を大切にしています。そのためにオペレーションを工夫しています」とおっしゃいます。
食材の周到な下処理を行うことに加えて、厨房機器の選択も考え抜かれています。バックキッチンには、精緻な温度コントロールが可能なコンビオーブン、1台で異なる調理をこなせるバリオ デュアルパンのほか、フランス料理店としては珍しく、中華レンジを装備しています。中華レンジの魅力は強い火力。短時間の加熱で食材のおいしさを閉じ込めておきたい調理に用いるそうです。


- バックキッチンのホットエリア。コンビオーブンの真横に高火力の中華レンジを設置しています
所作のすべてがお客様の目に触れるオープンキッチンでは、無駄な動きを排除すべく、特注の厨房機器を導入しておられます。まず、IHコンロ。トッププレート下に位置する操作パネルをのぞき込んで加熱の出力を確認したり、調整ボタンを押したりしなくて済むように、小林シェフのリクエストで、出力調整はつまみを回して行う方式に変更しています。つまみは基本的に右(時計)回りで、1/2回転させたときの出力は、フルパワーの50%ではなく30%に設定しています。とろ火から弱火に相当する弱い出力域で、繊細な出力の調節ができるようにするためです。逆に、つまみを左へ少し回すだけで、100%の出力が得られるようになっています。パリの「Restaurant KEI」で使用しているIHコンロと同じ使い勝手にしたとのことです。


- アイランド形式のオープンキッチン。IHコンロのつまみは、回している方向が直感的に分かるよう、12時方向に突起をつけています
客席にもっとも近い位置にあるカウンターのコールドテーブルも特注品で、1台にドロワー(引き出し)と片開き扉の両方が採用されています。「ドロワーは、小さな食材を整然と収納するのに適しています。これに加えて、大きなバットに載せた食材をそのまま冷やせるように、開き扉も組み込んでもらいました。さまざまなタイプの食材や下処理済み食材を収納でき、食材の出し入れのために動く回数や歩数を減らせます」(杉本シェフ)。

- 特注のコールドテーブル。ドロワーと開き扉の両方を組み込んでいます
「fujimakはリクエストに
親身に対応してくれました」
「ESPRIT C. KEI GINZA」の厨房は、設計や施工など、fujimakがお手伝いをさせていただきました。「パリで小林シェフが設計した図面を、日本で具現化していく過程で、fujimakの担当の方は私たちの要望を親身になって考え、形にしてくださいました。無理難題をお願いしても、いったん飲み込んで、どうすれば実現できるかを検討してくれるのです。この前向きな姿勢がありがたかったです」(杉本シェフ)。
野平支配人は、「fujimakの担当の方は、当店に必要な備品を、自社製品であるか否かに関係なく、一緒に探してくださいました。それどころか、業者さんとの間に入って話を進めてもらったこともあります。仕様の変更にも柔軟に対応いただきました。同じビルの12階に開業したバー(「ST LOUIS BAR by KEI」)についても、作業性と見た目の美しさを両立できる仕様の提案などもいただきました。さまざまなリクエストに、親身になって対応してくださったのは間違いありません」とご評価くださいました。

- ワインセラー。壁面を天井まで無駄なく活用しつつ、見た目の美しさも兼ね備えています
お二人にお話をお伺いしたのは、開店から半年あまりが経った日のことでした。「お客様が、自分が注文した食材がシェフの手によって料理になっていく過程を目で追っているのが分かります。このライブ感はオープンキッチンならではですね。『あの機械は何ですか』と、厨房機器について尋ねられることも珍しくありません」と、野平支配人はおっしゃいます。「杉本シェフや他の料理人も、所作を細かく見られていることを意識して、手際よく、清潔感のある調理を実践しています。順調に滑り出していますので、よりお客様にご満足いただけるサービスを追求してきたいと思います」(野平支配人)。
杉本シェフは、「お客様に喜んでいただいている実感はありますが、店として、できることがまだまだあると思います。『その日入手した最高の食材を、おいしさを最大限引き出せる調理法で、アラカルトでお出しする』というコンセプトを大切にしながら、店としての総合力を高め、より良いレストランにしていきたいと思います」と今後の抱負を語ってくださいました。

- 野平支配人(写真左)と杉本シェフ(同右)
関連製品・サービス
店舗情報

店舗名 | ESPRIT C. KEI GINZA(エスプリ・セー・ケイ・ギンザ) |
---|---|
所在地 | 東京都中央区銀座7-8-17 虎屋銀座ビル11階 |
電話予約 | 03-6274-6611 |
開業 | 2024年4月 |
Webサイト | https://www.maisonkei.jp/esprit_c/ |