更新日:2023年11月21日

Special Report

初めての食育イベントで
fujimakが得た「学び」

食に携わる企業市民として、fujimakはどのような社会貢献ができるのか---。そのような課題意識をもとに、fujimakは初めての食育イベントを2023年8月末に、財団法人星総合病院との共催で実施しました。当日の詳細と、イベントを通じて得た気づきをご報告します。

健全な食生活を実践する力を育む「食育」

今や、すっかり定着した「食育」という言葉。内閣府によると、「食育とは、様々な経験を通じて、『食』に関する知識と、バランスの良い『食』を選択する力を身に付け、健全な食生活を実践できる力を育むことです」と説明されています※1。この食育を国民運動として推進するために制定されたのが食育基本法です。

食育基本法の第6条には、食育の実践方法が記載されています。「食育は、広く国民が家庭、学校、保育所、地域その他のあらゆる機会とあらゆる場所を利用して、食料の生産から消費等に至るまでの食に関する様々な体験活動を行うとともに、自ら食育の推進のための活動を実践することにより、食に関する理解を深めることを旨として、行われなければならない」と記載されています。

※1 出典:『「食べる力」=「生きる力」を育む 食育 実践の環(わ)を広げよう』(政府広報オンライン)

fujimakは、食にかかわる企業として、食育の実践にどのようにかかわっていくかを社内で議論し、地域の食育に熱心に取り組んでおられる、公益財団法人星総合病院の法人企画部 食Fullクリエイト課にご相談をすることにしました。同財団が運営する「星の森保育園」をお客様事例※2として訪問した際に、星総合病院の食育に関する方針やきめ細やかな運営体制に弊社社員が感銘を受けたと発言したことから、学習の機会をいただきたいと考えたことによるものです。

※2 「星の森保育園──豊かな感性をはぐくむ“食育仕様”のオープンキッチン」(お客様事例)

「自分の『食』をおろそかにしない」体験を提供する

「食Fullクリエイト課には、『健全な食活動を身に付けてもらう』という理念があります。お子さんや親御さんの食育体験を通じて「食」に興味を持ってもらうこと。それが、生涯、自分の「食」をおろそかにしないことにつながり、健康につながるという考えです」と、「星の森保育園」の取材でもご対応いただいた公益財団法人星総合病院 法人企画部 食Fullクリエイト課の戸松明子課長はおっしゃいます。

公益財団法人星総合病院は、グループ企業の株式会社ほしくまファームが福島県郡山市に1万1000㎡の農地を所有しています。そこで生産した有機JAS認証の有機野菜や果物を、病院や保育園の給食に使用したり、販売したりしています。また、食育をはじめとする地域のイベントで調理を実演し、メニューを提供するための移動キッチンカー「キッチンほしくま」を保有しておられます。財団が運営する施設での日常的な食育のほかに、食育関連のイベントをこれまで100回以上、実施してこられました。

この度、fujimakは、食育への取り組み方を学ぶべく、2023年8月26日(土)に、同財団とfujimakの共催という形で、食育イベントを実施させていただきました。イベントは、星総合病院の食育イベントの基本構成に準じて、収穫体験と調理体験に座学を加えた、体験重視の内容で構成し、財団の皆さまと、fujimakの営業、調理アドバイザー、2人が当日の運営に当たりました。撮影許可をいただいた参加ご家族のスナップを掲載しながら、当日のイベントの模様をご紹介します。

9時 栄養についてのお勉強(20分間)

イベント開始は午前9時。熱中症対策のために広場内に張ったテントの下で、スタッフが自己紹介や全体の流れについての説明を行い、栄養について20分間のレクチャーをしました。

「みんなの体は、みんなが毎日食べるもので作られるんだよ。お魚とかお肉は、赤いしるしの場所にあるね。ここにある食べ物は血や肉、骨などを作ります。黄色のしるしのところの食べ物は、体を動かすもとになるよ。今日はこれから、何をするんだっけ?そう、お野菜をとるんだね。野菜は、緑のところにあるね。緑のところの食べ物は、体の調子を整えます」

fujimakの社員が三色食品群について説明しました。三色食品群で緑に分類される野菜については、緑黄色野菜と淡色野菜の違いについても触れ、これから収穫する野菜のシルエットクイズに続きます。「今日、みんながこれから収穫するお野菜の形が書いてあります。何のお野菜か分かるかな?」。自分で答えを記入し、答え合わせをしたら、農場に移動です。

9時40分 収穫体験(30分間)

次に、ほしくまファームでの収穫体験です。この日、収穫したのは、ミニトマト、キュウリ、ナス、ズッキーニ、オクラの計5種類。家族ごとに収穫する野菜の数を記入してあるボードを渡し、この後の調理体験で用いる、野菜を収穫していきます。土や苗に触れること自体がお子さんにとっては貴重な体験ですし、野菜を収穫することで、その野菜に興味を持ちます。

10時25分 調理体験~野菜の下処理~(15分間)

そして、調理実習の開始です。最初に、夏野菜の全粒粉ガレットと、そのソース2種類(コブドレッシング、枝豆タルタルソース)を作るための下処理にチャレンジします。野菜を洗い、下処理の体験です。「オクラは洗ったら、お塩を振って、まな板の上でゴロゴロと転がしてあげましょう」。オクラ表面の産毛を取るための板ずり体験が組み込まれています。そして、野菜のカットです。「特にお子さんに調理をしてもらう際は、必ず保護者がそばについて見ていてもらうようにしています。お子さんだけで包丁を扱わないといった安全面だけでなく、親子で一緒に収穫や調理の体験をしてもらうことは親子のコミュニケーションとしても貴重な機会だと思うからです」(戸松課長)。

10時40分 調理体験~ガレット焼きとチキン~(70分)

全ての野菜を切り、ソースを作ったら、グループごとにホットプレートで全粒粉のガレットを焼きます。生地を作ってプレートに流し込み、「トンボ」と呼ばれるヘラを使ってクレープのような生地を作っていきます。

ガレットを焼き終えたら、ここでサプライズ。グリルチキンの登場です。「今回はfujimakとの共催ですので、fujimakの機器を使った、驚くようなメニューを先に決めました。それが、コンビオーブンで焼いた丸鶏です」(戸松課長)。事前に焼成しておいた丸鶏を姿のままお子さんたちの前に出すと、「すごーい」と声があがります。

スタッフが切り分けたグリルチキンをお子さんたちがほぐし、自分が収穫して切った夏野菜と一緒に、ガレットにトッピングしていきます。「さっき、3つの色のところでお野菜は緑だと説明をしましたよね。お肉は何色だったっけ?」「赤!」「そうです。お肉やお魚は血や肉や骨、あとは歯などを作るもとになるんだよ」。そんなやりとりをしながら、栄養について学びます。目の前に食材があると、知識の吸収が速いと感じました。

12時 食事と今日のまとめ(60分間)

いよいよ食事タイム。自分で作った夏野菜のガレットをみんなと食べます。戸松課長は、「このイベントに来て、今まで食べることができなかった野菜が食べられるようになった」といったお声が聞けるのはとても嬉しいとおっしゃいます。「食育イベントの体験で重視しているのは、イベント時だけでなく、お家で継続してできる体験にしていることです。ご家庭での食生活を変えられるように、当日のメニューのレシピをお持ち帰りいただくようにしていますし、後片付けを一緒にやることで、ご家庭でのしつけのお手伝いができればいいと思っています」(戸松課長)。

実は、今回撮影を許可していただいたご家族は3回連続のご参加だそうです。「イベントを評価してくださっている証ですので、とても嬉しく思っています」(戸松課長)。

この食育イベントへの参加は、fujimakにとって、自分たちの仕事の意義を再認識するとても貴重な機会となりました。イベントに参加した弊社調理アドバイザーは以下のような感想を口にしました。

「初めての試みでしたが、戸松様をはじめとする星総合病院の皆さまにリードしていただきながら企画準備を進めることができました。コンビオーブンで焼いた丸鶏を見た子どもたちの目がキラキラしていて嬉しかったです。運営する立場でありながら、私たちも貴重な経験をさせていただきました。今後もこうした活動を通じて、子どもたちに健全な食生活を伝えていければと思います」。

安全な運営のために多くの人手が要ること、当日に円滑にイベントを運営するためにきめ細やかな事前準備が必要なこと、お子さんたちが興味を抱きそうなタイミングで食生活や栄養についての知識をインプットすることなど、実に多くの学びを得ました。今後、食育の推進に、fujimakとしてどのような活動をしていくことが適切なのか、社内で議論を深めたいと思います。

星総合病院の戸松明子課長(左から2番目)、二瓶祐子様(一番左)とfujimakの営業担当、調理アドバイザー

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